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一括査定の仕組み —— 依頼したあと、各社から連絡が入るのはなぜか

「無料で査定を依頼する」のボタンを押す前に、このページへ来た方が多いはずです。押したあとに何が起きるのか、電話は何社から来るのか、断れるのか、費用はいくらか、入力した情報はどこへ行くのか。順に答えます。

先に結論だけ書きます。依頼が届いた会社が、それぞれ別々にあなたへ連絡します。 連絡が複数入るのは、サービスの不具合でも、あなたの情報が漏れたのでもなく、一括査定という仕組みがそういう設計だからです。理由は、不動産会社が1件の依頼に費用を払っていることにあります。

一括査定は、誰が何をしているサービスか

登場するのは3者です。

  1. あなた(売却を考えている人)。物件の所在地・面積・築年数と、連絡先を入力します。
  2. 一括査定サイトの運営会社。入力を受け取り、条件に合う不動産会社を選んで依頼を配ります。依頼した人に料金を請求する仕組みではありません(費用は不動産会社が負担します)。
  3. 不動産会社(査定を行い、売却を任せてほしい側)。配られた依頼に対して、1件ごとの紹介料、あるいは月額の掲載料を運営会社に払っています。

この3者の間で、お金は不動産会社から運営会社へ流れます。依頼した人が払う仕組みではありません。そして、お金を払った側である不動産会社は、払った分を回収するために、依頼を受け取ったらあなたと話をしようとします。電話の理由はここに尽きます。金額の水準や、その先の広告の流れについては「不動産会社が1件の問い合わせに払っている金額」で分けて書いています。

査定そのものを行うのは不動産会社です。一括査定サイトも、本サイトも、査定は行いません。

依頼するとどうなるか(時系列)

  1. 入力。所在地・種別・面積・築年数・連絡先。売却の時期や理由を選ぶ欄があるサービスもあります。
  2. 配信。運営会社が、対応エリアと物件種別に合う不動産会社を選び、依頼を送ります。何社に送るかはサービスごとの仕様で決まっており、送り先の上限の社数を公表しているサービスもあります。
  3. 連絡。依頼を受け取った各社が、電話またはメールで連絡してきます。連絡が入る時期は会社によって違います。
  4. 査定。机上査定(書類と事例だけで出す概算)か、訪問査定(部屋を見て出す査定)か。訪問なら日程を決め、担当者が室内を見ます。
  5. 査定額の提示。訪問後、各社から査定額と根拠が届きます。
  6. 比較して、決める。または断る。 どの会社にも任せないという選択もここでできます。

この先(媒介契約 → 売り出し → 内見 → 価格交渉 → 引き渡し)は、媒介契約を結んでからのことです。

連絡は何社から、いつ、どの手段で来るか

  • 何社から: 依頼が届いた会社の数だけです。送り先に上限を設けているサービスでは、その上限の社数まで連絡が入りえます。対応できる会社が少ないエリアでは、届く先が1〜2社ということもあります。
  • いつ: 依頼の直後に集中します。不動産会社の側から見ると、同じ依頼が競合にも届いていることが分かっているので、早く接触しようとします。
  • 手段: 入力した電話番号への電話が中心です。メールでの連絡を希望する欄があるサービスでは、そこに書いておくと電話が減る傾向はありますが、電話がゼロになることを約束する仕組みではありません。

電話で聞かれるのは、入力欄に無かった情報です。階数・向き・室内の状態・リフォームの有無・住宅ローンの残り・売却の理由と時期。公開データにも入力欄にもこれらは無く、この情報が無いと査定額の幅が狭まらない、というのが会社側の事情です。

なぜ、わざわざ電話なのか —— 会社側の事情を3つ

  1. 同じ依頼が競合にも届いている。 先に話をした会社が、媒介契約を任される確率が高い。これは業界で広く共有されている経験則です。
  2. 1件の依頼に費用を払っている。 連絡をしなければ、払った紹介料はそのまま費用として消えます。
  3. 電話でしか埋まらない情報がある。 上に書いたとおりです。メールで質問を並べるより、10分話すほうが早いと会社は考えます。

つまり、電話が来ることは「あなたの物件に関心がある会社が、費用を払ってでも話したいと思っている」状態の表れです。しつこいと感じるかどうかは別として、仕組みとしては健全に動いています。

断れるか

断れます。 査定額を見てから断れますし、査定の途中で断ることもできます。

  • 査定を受けることと、売却を任せることは別の行為です。任せるときには媒介契約という契約を結びます。宅地建物取引業法は、媒介契約を結んだ不動産会社に対し、遅滞なく、契約の内容(有効期間、指定流通機構への登録、報酬など)を記載した書面を作成して依頼者に交付することを義務づけています(第34条の2第1項。依頼者の承諾があれば電磁的方法でも可・同条第11項)。査定を受けることと媒介契約を結ぶことは別の行為で、任せるかどうかは書面の内容を確かめてから決められます。
  • 「他社に決めました」「今回は見送ります」の一言で、連絡は止まります。理由を説明する必要はありません。
  • 連絡が続く場合は、依頼を出した一括査定サイトの運営会社に申し出る窓口があるのが通常です。

費用はかかるか

当サイトから案内する一括査定サービスでは、査定の依頼に費用はかかりません。 売却が決まったあとの費用は、契約する会社との取り決めによります(仲介手数料の上限は法令で定められています)。仲介手数料は、査定を受けた段階、媒介契約を結んだ段階では発生しません。

一括査定サイトの運営会社も、依頼した人に料金を請求する仕組みではありません。彼らの収入は不動産会社からの紹介料です。

入力した情報はどこへ行くか

  • 入力先は、一括査定サイトの運営会社です。運営会社は、依頼を配る不動産会社にあなたの氏名・連絡先・物件情報を渡します。これは第三者への提供にあたるため、申込フォームの規約に同意を求める形になっているのが通常です。同意する前に、提供先の範囲と利用目的を規約で確かめてください。
  • 渡された各不動産会社は、それぞれの個人情報保護方針のもとで情報を保管します。連絡を止めてほしい・情報を消してほしいという申し出は、各社に対して行えます。個人情報の保護に関する法律は、事業者がその情報を利用する必要がなくなった場合や、取扱いにより本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合などに、本人が保有個人データの利用停止・消去を請求できると定めています(第35条)。要件に当たるかは個々の事情によります。
  • 本サイトには、あなたが何を入力したかは届きません。 本サイトが受け取るのは、申し込みが成立したという事実と、どのページから移動したかだけです(プライバシーポリシー第6項)。本サイト自身は入力フォームを持っていません。

査定額が出たら、どう読むか

各社の査定額を受け取ったら、相場ページの「取引の中央50%が収まる範囲」と並べてみてください。

  • 世田谷区のマンションでは、直近1年(2025年4月〜2026年3月)の取引587件の中央値が5,300万円、直近8四半期(2024年4月〜2026年3月)の取引1,431件の中央50%は3,000万〜8,200万円です。
  • 府中市のマンションでは、直近1年の取引168件の中央値が3,900万円、直近8四半期の取引383件の中央50%は2,450万〜4,800万円。
  • 東大阪市のマンションでは、直近1年の取引172件の中央値が2,000万円、直近8四半期の取引340件の中央50%は1,300万〜2,600万円。

この幅は、面積・築年数・町名でおおむね説明がつく幅です。あなたの物件がこの幅のどこに落ちるかを、部屋を見た会社が数字にしたものが査定額です。査定額が幅の上端を大きく超えていたら、その根拠を聞く。幅の中に収まっていたら、各社の差がどこから来ているかを聞く。読み方の続きは「査定額の高い会社が、高く売れる会社とは限らない理由」に書きました。

取引の多い足立区のマンション(直近1年540件)のようなエリアでは統計の幅を信頼して読めますが、取引が少ないエリアでは統計より実物を見た査定額のほうが手がかりになります。ページごとに、中央値と一緒に件数を見てください。

編集長の見方

私は不動産・金融の領域で集客の実務に関わってきました。その立場から見ると、一括査定の電話は「営業されている」というより「入札が始まった」状態に近いと読んでいます。複数の会社が、費用を払って、あなたの物件について話す権利を得た。その権利を行使しているのが電話です。

だから、電話が来ることを避けるより、来る前に「何を聞くか」を決めておくほうが、依頼の価値は上がります。査定額の根拠はどの事例か、売出価格と成約見込みは分けて提示してくれるか、想定する販売期間はどれくらいか。この3つを全社に同じ言葉で聞けば、比較の材料が揃います。

依頼するかどうかは、ここまで読んだうえで決めてください。売却の時期が決まっていなくても依頼はできますし、査定額を見てから断ることもできます。


本記事は一括査定という仕組みの一般的な説明であり、特定のサービスの利用条件はそのサービスの規約が正です。査定を行うのは各不動産会社であり、本サイトは査定・仲介を行いません。

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ (https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)

「不動産価格(取引価格・成約価格)情報」(国土交通省)をもとに合同会社サイバーオプテーニ作成(サービス名: イエソウバ)。準拠ライセンス: 公共データ利用規約(第1.0版)。

本ページの相場情報は公開データを統計処理した参考値であり、個別物件の査定額・成約価格を保証するものではありません。